「どうやって」電波を発見したのか? ~ 数学とは何か

日々、携帯電話から出ている電波について。

電波は、1888年にドイツの物理学者 ヘルツ(Hertz)氏によって発見されました。 周波数の単位には「ヘルツ(Hz)」を使いますが、これはヘルツ氏の名前に(ちな)んで付けられています。

さて、発見者や発見年は重要ではありません。問題は「どうやって発見したのか?」です。 電波は「無味」「無臭」「見えない」「聞こえない」「触れない」ですよね。

化学物質の発見であれば「試験管の中にあります」と言えそうですが、電波は閉じ込めておけないし。。。 「どうやって」「何を」発見したのでしょうか?

数学とは何か?

後から電波に戻りますが、とりあえず数学の話をします。大丈夫、数式は出てこないから。

数学とは何か?」という質問に対して、以下の3択から答えを選んでください。選んだ理由も必要です。

Q、数学とは何か?

  1. 計算
  2. 言語
  3. 概念

答えは、全部が正しい。ただし、立場が違うだけ。

(1)の「計算」を選んだ人は、理系以外の方です。

(2)の「言語」を選んだ人は、理系の方です。

(3)の「概念」を選んだ人は、理学部 数学科の方です。(らしい)

私は工学部卒業の理系なので、(2)の見方、つまり「数学は言語だ」と思っています。 (3)の境地には達していません。「数学は概念だ」と思ったことは、一度もありません。

音楽について考えてみる

さて、さらに話は飛びますが、私は楽譜を読めません。でも、音楽を楽しめます。耳が聞こえるから。

ベートーベンは耳が聞こえなくなった後も、作曲を続けたと言われています。 楽譜を読めたので、頭の中で音楽を再現できたのでしょう。

SF的な話ですが、仮に原因不明の病気で、世界中の人の聴力が失われたとしましょう。CDも、スピーカーも、楽器も、Apple Musicも不要になります。そうなった場合、楽譜を読める人は、楽譜を読んで 音楽を楽しむようになるかもしれません。小説を読んで「空想の世界を想像」するように、楽譜を読んで「音楽を想像」するのです。

楽譜は言語です。(普通の日本語や英語のような)自然言語で音楽を表現することは難しい。よって、楽譜という言語を使っているのです。

数学は「自然現象」を表す言語

言語表すもの感覚器
自然言語いろんなこと五感
楽譜音楽
数学自然現象×

「楽譜」は「音楽」を表現する言語です。 しかし、「耳」があるので楽譜は必須ではありません。

「数学」は「自然現象」を表現する言語です。 しかし、音楽での耳に相当するような感覚器がありません。 よって、「数式を読んで自然現象を想像」するしかないのです。

数学が表す自然現象

(以下、初歩の高校物理の説明。分かっている人は次の「電波も数学で表現される」へ)

例えば、ボールを遠くの飛ばすことを考えます。 どの角度で投げ出せば一番遠くに飛ばせますか? 90度(真上)だと、頭の上に落ちてきます。 0度(水平)だと、すぐに地面に落ちますね。

空気抵抗を考えない場合、45度に投げ出すと一番飛ばせます。 これは高校の物理で証明できます。 ただし、三角関数(サイン・コサイン)とベクトルと微分積分が必要ですが。。。

そういうのを発展させると「なぜ、人工衛星が地球から離れていかずに、でも 地球にも落ちて来ないのか」とかも理解できます。

電波も数学で表現される

以上、脱線しましたが、電波に戻ります。ただし、ここから「電波」ではなく「電磁波」と呼ぶことにします。

電磁波は、どのようなものか想像できますか?
電磁波は数式で表現されているので、数式を読んで想像します。 それ以外の方法はありません。

電磁波発見の歴史

昔々、ファラデー(1791-1867)という科学者がいまして、この人は実験が非常に上手でした。歴史に残る多くの発見をしています。その時代にノーベル賞があれば、3or4回取れたであろう、とも言われています。中学校の理科で「ファラデーの法則」というのも習いましたよね。(ただし、ファラデーは小学校も満足に通っておらず、論文の中には数式が全く出てこなかったと言われています。)

その後、マクスウェル(1831-1879)という人が現れまして、ファラデーや他の科学者が発見した法則をまとめ、マクスウェルの方程式(1864)と呼ばれる4本の数式を導き出しました。感覚的には、数百本あった数式を、たったの4本にした、と思ってください。ムチャムチャすごいことです。

現在、電気と磁気に関しては、電磁気学という分野が確立されています。「電磁気学を理解した」=「マクスウェルの方程式を理解した」と言うことになります。ただし、マクスウェルの方程式は偏微分方程式という、ちょっと難しい数学を使って書かれています。(詳しく知りたい人は「マクスウェルの方程式」をググってください)

※ 下の段落だけ難しいですが、分からなくても読み続けてください。

なお、微分方程式というのは本質を表すもので、そのままでは使えません。現実に役に立つ計算をする場合、積分をした式を使います。マクスウェルは、微分方程式であるマクスウェルの方程式を、特殊な条件で積分した解から、電磁波の存在を予言しました。(厳密にはファラデーも光が電磁波だと予測しています)

その予言を受けて、ヘルツ(1857-1894)は、電磁波を出す機械と受ける機械を作って、実際に電磁波を出してみた、ということです(1888)。なお、ヘルツ自身は、電磁波の発見が いかに重要なものかを想像できずに、「何の役に立つのか」と聞かれ、「たぶん、何もない」と答えたそうです。

簡単にまとめると、(1)ファラデーが実験した結果を、(2)マクスウェルが理論化し、(3)ヘルツが電磁波を実際に出してみた(=発見した)、ということです。

なお、その後の実用化で名を遺したのはマルコーニ(1874-1937)でした。 彼はその通信距離を徐々に伸ばし、1901年、ついにアメリカ大陸とヨーロッパ大陸の無線通信に成功しました。 その後、20世紀の大戦などを通じて、無線通信技術は大きく進歩しました。
(残念な真実 : 科学技術の進歩は、戦争によって加速される)

数学を学ぶ理由

現代社会において、電磁波(無線工学)は基盤です。 しかし、その電磁波をイメージできる人はほとんどいません。 なぜなら、数式を読むことでしか、それをイメージすることができないから。 全ての人が高等数学を学ぶ必要は無いと思います。 しかし、世の中には「数学でしか表現できない内容もある」ということです。

電磁波は見える

なお、重箱の隅をつつくような話ですが、「電波」は見えませんが、「電磁波(の一部)」は見えます。

電磁波は周波数により、電波/赤外線/可視光線/紫外線/X線/ガンマ線 などに分類されます。 よって、可視光線は電磁波の一部になります。 つまり、モノが見える = 可視光線が見える = 電磁波が見える ということのなります。

人間の目では「電波」と呼ばれる領域の周波数は見えないので「電波は見えない」と言えます。

ミュンヘンに行ってきた!

さて、ヘルツ氏はドイツ人。私はドイツに住んでいる。「ヘルツ氏が使った実験設備はどこにあるのか?」と調べてみると、ミュンヘンのドイツ博物館にある! ということなので、ミュンヘンに行ってきました。(ついでに、クリスマスマーケットやBMW博物館にも行ってきた。) 続きは後日。。。

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