【イギリスのEU離脱】 EUとシェンゲン協定の違い

話題のイギリスのEU離脱について。

EUシェンゲン協定について、混同している人がいるようなので、簡単に説明するで。

シェンゲン協定 国境でのパスポートコントロール無し。
EU (欧州連合) 関税なし
人の移動(居住/就労)が自由

シェンゲン協定

まず、分かりやすい方のシェンゲン協定について、説明するで。

簡単にいうと、国境での「パスポートコントロール」が無いってこと。

加盟国間

ドイツ⇒ベルギー⇒フランスは陸続きだが、ここを車で走ると、いつの間にか 国境を越えている。一応、看板がある。「ここから、フランスやで~」って。 でも、それだけ。「ここから神奈川やで~」「ここから静岡やで~」と書いてあるのと同じ。

飛行機でも同じ。ドイツからイタリアへの飛行機では、パスポートの提示を求められない。日本で国内線に乗る場合と同じ。

なお、これはEU域外の人も同じ。(日本人を含む)他のEU以外の国籍の人でも、パスポートの提示を求められない。

# シェンゲン協定
加盟国 未加盟国
EU 加盟国 ドイツベルギーフランスイタリアなど多くの国 イギリス、アイルランド、ルーマニア、ブルガリア、クロアチア、キプロス
未加盟国 スイス、リヒテンシュタイン、ノルウェー、アイスランド トルコ、ボスニア、セルビアなど

イギリスの場合

一方、イギリスは(まだ)EUに加盟しているが、シェンゲン協定に加盟していない。よって、ドイツからイギリス行きの飛行機に乗る場合、入出国の検査がある。日本で国際線に乗る場合と同じ。

ただし、イギリスはEUに加盟しているので、EU域内の人(たとえばドイツ人)は、簡易の入出国検査だが(←つまり、優遇される)、日本人などは、ちゃんとした入出国検査になる。(←つまり、時間が掛かる)

スイスの場合

次に、スイスの場合。スイスはEUに加盟していないが、シェンゲン協定には加盟している。よって、パスポートコントロールは無い。しかし、税関はある

ややこしいで。

ドイツ ⇒ スイスには、パスポートコントロールは無い。つまり、歩いて国境を超えると、基本的にスルー。

ただし、EUに加盟してないから、税関はある。だから、車で国境を超える場合、「商品を持ってるやつは、納税しろ!」とチェックされるわけや。

まとめると

シェンゲン協定は、国境で「人」のチェックをしない。イギリスはシェンゲン協定に未加入だから、ドイツ⇒イギリス間で「人」がチェックされる。

EUは、国境で「物」の関税をしない。スイスはEUに未加入だから、ドイツ⇒スイス間で「物」がチェックされる。

EU (欧州連合)

次に、EUや。

目的 ⇒ 「一つの国(みたいなもの)」

簡単にいうと、「ヨーロッパという一つの国(みたいなもの)になろう」という試みやな。

例えば、アメリカ(合衆国)やドイツ(連邦共和国)は「州の自治」が強い。(日本の場合、江戸時代の頃は、藩の自治が強かったが、今の都道府県の自治は弱い。)

アメリカの州、ドイツの州は、ほとんどの仕事を自治しているが、まとまってを作っている。

「なんで、国を作っているのか」というと、外交的にも軍事的にも経済的にも、大きい方が強くて得だから。

で、ヨーロッパの国の一つ一つは小さい。フランス・ドイツ・イギリスにしても、日本よりも小さい。アメリカに比べると、はるかに小さい。

そこで、ヨーロッパも「まとまって大きな国(みたいなもの)になろう」というのがEUの目的。

国家の定義

大前研一氏によると、国家の必要条件は「国境」「憲法」「統治機構」「軍隊」「通貨」らしい。EUの場合を確認すると、

  • 国境: シェンゲン協定の加盟国間では、国境でパスポートのコントロール無し。関税も無い。
  • 憲法: 欧州憲法がある。欧州憲法は、それぞれの加盟国の憲法よりも優先される。
  • 統治機構: 立法府(欧州議会)、司法府(欧州司法裁判所)、行政府(欧州委員会)がある。
  • 軍隊: NATOがある。
  • 通貨: EUROがある。

こうしてみると、EUは「ほとんど国家としての機能を持っている」ことが分かる。

ポイント

ここで、覚えておくべきポイントが2点。

  • 関税なし
  • 人の移動(居住/就労)が自由

関税なし

EU加盟国間では、物を移動しても、関税が掛からない。

些末な話だが、ドイツではamazon.deを基本的に利用するが、amazon.co.ukも利用可能。配送料が高いが、英語の本やDVDは、co.ukの方が安いので、たくさん買った場合、co.ukの方が安くなる場合がある。

イギリスはEUからの離脱をするらしいので、今後は、amazon.co.ukから物を買うと、関税が掛かるだろう。

イギリスの富裕層や企業が「EUに残りたい」と思っている理由は、この域内非課税のメリットが大きい。

人の移動(居住/就労)が自由

次に、EUの加盟国間では、人の移動が自由である。

これは、先ほどのシェンゲン協定と似ているが、違う。

EU加盟国の国民は、他の加盟国に、許可なく「住んでも」「働いても」良い。

たとえば、今のところ、イギリスもルーマニアもEU加盟国なわけや。つまり、月5万円で働くルーマニア人(=EU加盟国の国民)が、イギリス(=他の加盟国)に行って、滞在許可なく「住んでも」、労働許可なく「働いても」良いわけだ。

ただし、イギリスもルーマニアもシェンゲン協定に未加入なので、パスポートコントロールはある。しかし、普通は通る。

アメリカ人だろうが、日本人だろうが、スイス人だろうが、イギリスに勝手に住んだり、勝手に働くことはできない。 EUの非加盟国の国民だから。

しかし、東欧から大挙して労働者が押し寄せても止められないわけだ。EUに加盟している限り。

EU離脱に賛成した人たちは、このデメリットを主張している。

最後に

なお、筆者はドイツの在住者ではあるが、政治経済分野について見識がある訳でないので、間違っている可能性があります。。。
(その辺のITエンジニアです)

その場合は、ご容赦を。。。

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